奄美発の4人組女性ボーカルユニット・あゆたーり(Ayutarly)が7月31日に1stシングル『煌く(きらめく)』を配信リリースすることが決定しました。新型コロナウイルスの影響によりレコーディングがストップしていましたが、それを挽回して完成させた満を持してのデビューシングルです。
シマ唄は、奄美がたどってきた壮絶な歴史にも深い関係があり、どこか哀愁やわびしさを感じさせるものが多くあります。NHK大河ドラマ『西郷どん』で奄美の島娘・とぅま(愛加那)役を演じた二階堂ふみが劇中で歌った『いきゅんにゃ加那』は印象深いものがありました。
元ちとせや中孝介、城南海、我那覇美奈、音楽ユニット・カサリンチュといった奄美出身のアーティストは奄美シマ唄で用いる歌唱法を活かした歌声で魅了してくれますが、テクニックだけでなくシマ唄のルーツにある魂(ソウル)がベースにあるから心に響くのでしょう。
あゆたーりはそんなシマ唄の若き継承者・伝承者として活躍中の牧岡奈美(喜界島出身)・里歩寿(瀬戸内町出身)・森田美咲(徳之島出身)・平田まりな(名瀬出身)の4人からなり、全員が「奄美民謡大賞」の歴代大賞ホルダーでもあります。
シマ唄は本土の民謡がそうであるように基本一人歌いのため、そもそも合唱することやハモることはありません。出身地、受け継ぐ唄の異なる4人が、それぞれの「シマ唄」をバックにハーモニーを奏でたとき、どんな化学反応がおきるだろう? どのように変化し昇華されるのか!?これこそが、あゆたーり結成の動機に他なりません。
デビュー曲『煌く』は、作曲家・島野聡の優しく切ないメロディーに、あゆたーりのメンバーが奄美の雄大な自然、脈々と受け継がれる命、唄をテーマに作詞したものです。
配信に先駆けて音源を聴く機会を頂いたのですが、想像をいくつも超える音楽に奄美シマ唄のさらなる可能性を感じました。
奄美シマ唄を活かしたポップなボーカルと三線に厚みのある洋楽のサウンドが融合して、ふと琉球音階やアジアの民謡を取り入れて和楽器と洋楽器を用いて「無国籍音楽」と話題になった音楽集団「上々颱風」(シャンシャンタイフーン)を思い浮かべました。
最近でいえば詩吟、和楽器と洋楽器を融合させた「和楽器バンド」がそれまでバンドサウンドに埋もれがちだった津軽三味線、琴、尺八、和太鼓といった音を前面に出すのに成功しましたが、あゆたーりはシマ唄を活かしたコーラスを取り入れた点で新しいと言えるでしょう。
あゆたーりを生んだ奄美群島あるある「奄美はこんなところ」
あゆたーりの資料にメンバー4人が奄美群島のどこ出身なのかしるした地図と「奄美はこんなところ」とたとえた「あるある」が載っており、これがなかなか面白かったので最後に紹介させて頂きます。
※奄美のイントネーション風に脳内再生してみましょう。
「隣に座った人と少し話すと親戚だった」
「噂話は、光通信よりも早く伝達する」
「台風の備えが完璧(懐中電灯の準備、お風呂の水溜め、食料の買い溜め)」
「暴風域でも学校が休校にならない」
「手つかずの大自然がいっぱい」
「運動会 集落の人参加 当たり前」
「喜界島にはハブがいない」
「近所でも車移動(あんまり歩かない)」
「同じ奄美群島でも沖永良部と与論の民謡では、奄美民謡のお約束の朝花節や六調はやらない」
「給食が鶏飯の時だけ、残飯が残らない」
「約束の時間に家を出る」
「19時に予約した居酒屋 全員集まるのは22時」
「黒糖焼酎メーカーがたくさん」
「同じ島でも集落(シマ)ごとに方言が」
「沖縄ではありません」