あいみょんと言えばインディーズ時代に出した『貴方解剖純愛歌 ~死ね~』(2015年)とかメジャー3枚目シングル『君はロックを聴かない』(2017年)や日テレ系『news zero』のエンディングテーマソングにもなった『さよならの今日に』(2020年)などを聴いて「ああ、あいみょんってきっとロックが大好きなんだろうな」とは思っていましたが『センチメンタル・ジャーニー』が好きだと知って、ほかにも多様なジャンルの音楽を聴いているんだと感心しました。
音楽特番『THE MUSIC DAY 2021』であいみょんが厳選した4曲の最後に挙げたのが松本伊代のデビュー曲『センチメンタル・ジャーニー』(1981年)だったのです。「あの若さでこんなに切ない気持ちを歌えるなんて」(たぶんそんなコメントだった)と理由を話しながら「もう曲を作られた方は亡くなられて」と残念そうでした。
『センチメンタル・ジャーニー』の歌詞を手掛けた湯川れい子さんは、作曲家・筒美京平さん(享年80)が昨年10月に他界されるとTwitterで「筒美京平先生は洋楽を知り尽くし、日本人のセンチメントもテイストも全部知って、曲を作っておいででした」と追悼しています。筒美さんは松本伊代の声が16歳にしては大人っぽいと感じてギャップに興味を持ったようで、歌詞を頼まれた湯川さんはイメージをスケッチしたメモを渡したものの、完成した楽曲を聴いて「伊代はまだ16だから」などの歌詞がそのまま使われていたので驚いたそう。(2020年10月18日フジテレビ『Mr.サンデー』を参考)
松本伊代の声に可能性を見出した筒美京平さん、まだ16歳だった松本伊代のありのままをスケッチして歌詞を生み出した湯川れい子さん、それをもとにして見事に仕上げた筒美さん。松本伊代が「自分に合わせたメロディーになっている」と振り返っているようにデビュー当時もストンと落ちて歌えたことでしょう。そんな3者によって生まれた『センチメンタル・ジャーニー』があいみょんの琴線に触れたことにドラマさえ感じます。
あいみょんと小沢健二、そして筒美京平 音楽はどこかでつながり続ける
『THE MUSIC DAY 2021』であいみょんが選んだ1曲に小沢健二の『ラブリー』(1994年)がありました。『ラブリー』は小沢健二自ら作詞・作曲を手掛けた作品ですが、小沢の代表曲の1つ『強い気持ち・強い愛』(1995年)は作詞を小沢健二、作曲を筒美京平さんが担当しています。小沢は昨年11月に筒美さんへの追悼としてTwitterで「思い出」をしたためた長文を投稿しましたが、その冒頭は「僕にとって筒美京平さんは、かけがえのない友人だった」から始まります。
あいみょんが小沢健二と筒美京平さんの絆を知っているかはわかりませんが、『センチメンタル・ジャーニー』を作曲した筒美京平さんと『ラブリー』の小沢健二がつながっていることに何かの縁を思わずにはいられませんでした。
飛躍気味な解釈からさらに飛躍しちゃいますが、7月4日放送の『行列のできる法律相談所 ~昭和・平成・令和の神アイドルvs明石家さんまSP』(日本テレビ系)で特集された「鳩レースを盛り上げよう!」企画第2弾の“伝説の鳩使い”及川茂さん(71)は鳩レースに飛び立った鳩たちが帰ってくるのを「あいみょんとかを聴きながら待っているときが一番好き。至福の時間」と話していました。あいみょんが聞いたら喜ぶだろうな~。
画像は『松本伊代 時々スタッフ 2021年7月2日付Instagram「7月1日!!」』および『あいみょん 2021年6月25日付Instagram「髪のばすよ」』のスクリーンショット